キャンドル
暗い部屋に独り、
蝋燭の火を灯す。
買ったばかりの、
既製のアロマキャンドル。
仄かな光が、私を照らす。
けれど、その光では、
部屋の闇までは埋まらない。
それでも、私はただ独り、
揺れる炎を前に佇む。
小さな炎の揺らぎは、
心を癒してくれる、と、
貴方が教えてくれた。
あの日、貴方がくれた、
手作りのアロマキャンドルの香りは、
貴方に似て、どこか素朴で、
とても優しかった。
孤独な夜、
私を置いて去った貴方を想い、
市販の蝋燭に火を灯す。
けれど、その炎の向こうに、
貴方の姿を探してしまうんだ。
押し付けがましい香りが、
薄暗い部屋を満たす。
貴方のくれたアロマキャンドルは、
もっと静かに、深く、
私に寄り添ってくれたのに。
二人で寄り添い、
炎の温もりを分け合った夜。
言葉少なに語り合った、
あの愛おしい時間。
戻れないと知りながら、
もう一度、あの幸せに触れたくて。
揺れる炎の前で、
私は独り、願いをかけるんだ。
11/19/2024, 6:34:43 PM