作業が終わればいいのに、全く減らないし終わらない。
止めどなく溢れて抱え込んでも抱えきれなかった。落としたくないのに私の両腕からこぼれていく、彼への気持ち。…多すぎる。
心の整理をする私たちはいつも大忙し。
彼が大好きなのは分かる。大いに結構、だって私たちも好きだから。懸命に愛情を集めたら山になってやがて島になった。住み心地は悪くないけど、いやはや、ここまでとは。埋められてしまってはたまったものではなく、気持ちを蔑ろにしたくはなかった。
私たちが頭を悩ませていると1人が「煮込んでしまおう」と。
『溢れる気持ち』を両手いっぱいに抱え込んであったかい別の気持ちで溶かしていく。
ことこと煮詰めて完成したのは小さな結晶たち。色とりどりで金平糖のような形のそれを割らないように、丁寧に底の深い瓶に移して。ガラスの瓶の底に滑り落ちてカラコロと澄んだ音に耳をすませた。
見た目もよく、かさばらないしこれなら生きている間は埋まってしまうことはなさそうね。
2/6/2023, 9:27:55 AM