静寂に包まれた山の上。
俺たちはテレビでやっていた流星群が降る様子を見に来たのだ。友人が数人と、幼馴染がひとり。
今夜は天体観測日和らしい。
少し肌寒く、気づけば両腕を摩っていた。周りに目をやればチラホラと人影が見える。きっと、俺たちのように流星群を観察しに来たのだろう。寒いのにご苦労なこった、と自分たちのことは棚に上げてそう思った。
みんなで使おうと持ってきたひとつの天体望遠鏡は、今は友人たちが使っている。俺と幼馴染はきっと、彼らが満足した後に使うことになりそうだと、少し離れた場所で賑やかな声をあげる友人たちに苦笑を浮かべつつ、俺は星空を見上げた。
そこには当然、恒星が輝いて見える。
俺の隣では、幼馴染が同じ空を見上げていた。
そのとき、ふと思う。
空に浮かぶ星より、君の方に目を奪われるのはなぜだろうかーーと。
7/5/2024, 12:49:41 PM