「飛べない翼」
⚠️監禁表現あり。
苦手な方は自衛をお願い致します。
薄暗い部屋の中に座り込む。
何週間、いや何ヶ月が経っただろうか。
窓の光さえ入る事のないこの部屋に閉じ込められてから。こんなの、紛れもない監禁だ。
たった唯一の出口に向かおうとしても、私の足に鈍く光るそれがそれを拒む。
長さも調整されていて、丁度出口には届かない。
これさえ取れれば。
足首を締め付けるそれをガンガンと机に打ちつける。
高い強度を持つそれには傷ひとつ付いていない。
なんでよ、外れてよ!!
何度泣きながら願っても何も変わらない。
そんなことを繰り返していたある日のことだった。
カチャ
え?開いた!!
ずっと開かなかった、それが開いた。
外れた嬉しさを前に笑みが漏れる。何で外れたかなんて気にすることよりも先に体が動いた。
気が狂ってしまう前に早く、早く此処から。
そう思い、走ろうと足を着いた瞬間、体が前方に倒れた。手足に全く力が入らない。
もー、馬鹿だなぁ。
彼の呆れたような声が、部屋に響く。
何で、まだ昼間なのに。彼がいるの?
君さ、此処に何ヶ月居ると思ってんの?全く動いてなかった君が急に走れるわけないじゃん。
最初から仕組まれていた。私が逃げ出すと分かった上で足枷を外し、走らせた。もう、逃げられないとでも言うように。
さぁ、部屋に帰ろう。お姫様。
空を飛ぶための翼をもがれた、もう飛ぶ事のできない鳥はまた鳥籠の中へと戻っていった。
11/11/2023, 3:45:31 PM