見知らぬ街
地元に住む私は、正直に言うと
家と職場の往復しかしていない。
そんな私が平日に仕事を休んで東京の街に出掛けた。
新幹線で東京駅につき、山手線に乗り換える。
地方から出てきた人でごった返していた場所から
どんどんと離れていく。
平日の昼なのに電車の外には沢山の人がいることに驚いた。
みんな仕事中なのかな?
仕事終わりなのかな?
お休みの日なのかな?
私のような旅行者なのかな?
目の前を歩く一人一人に思いを馳せる。
旅行者か旅行者じゃないかは、荷物を見れば分かるもので、一人一人を観察すれば、その人が東京に住む人だということも分かってくる。
ふと目にとまったのは小さな肩カバンをかけた男の人。
疲れた顔をしていた。
それはまさに私が仕事から帰るときの顔だと思った。
早く家に行きたいのか、少し足早にJRからメトロに向かって歩いていた。
このあとスーパーによって帰るのかな?
しっかり働いたあとの疲れた顔の中にも、このあとの生活を取り仕切るための表情がみえた。
その横を歩く女性は警戒心のないようすで、勝手知ったる道という足取りだった。目的地に向かう過程のつかの間のまの抜けたような様子に見えた。
それぞれがそれぞれの人生のために歩いていることを私は感じた。
まるで東京に来て、壮大な物語を外から鑑賞しているような錯覚に陥った。
『人の数だけ人生がある。』
私はなんてちっぽけな存在だろう、
なぜだか知らない街に来てつくづくとそう思った。
8/24/2025, 12:55:34 PM