一陣の強い風が吹き抜け、私の髪を洗つた。
前から枯葉が飛んで来て、私の頬を切つた。
ーこの風は、何処から来たのか。ー
涼風を含んだ髪一房掬ひ、そつと口付ける。
徐に風上を向いて見つめ、遠地の彼を思ふ。
ーこの風は、何を乗せて来たか。ー
どうか笑わないで欲しい、考えてしまう事。
この風の空気や酸素窒素、更に粒子達まで。
ーこの風は、彼にも吹いたのか。ー
どうしても願つてしまう、彼と私の繋がり。
私に吹いたのと同じ風が、彼にも吹く事を。
ーこの風よ、ずつと吹いて行け。ー
降って来た紅葉の欠片に、沢山の想ひ込めて
私は吹き抜ける風に乗せて飛ばした。
題材【吹き抜ける風】より
11/20/2025, 8:58:57 AM