1年前
花壇の花が風に揺れ、蝶々が飛び回る中、君はそれを見ながら微笑んでいた。楽しそうに、愛しそうに目を細めて笑う顔が、印象的だった。
それが一年前の話。
好きだったはずの花が植えられた花壇も、その周りを飛び交う蝶々もあの時と同じなのに、その瞳には何も映っていないみたいに空虚を眺めていて。
「壊れたものは直せないんだよ」
そう悲しげに言っていた言葉が頭によぎって、後悔する。
ああ、なぜ壊れてしまう前に助けを求めてくれなかったのだろうか。
救えたかもしれないのに、なんて言葉は今さらだってよくわかっていた。
6/16/2023, 3:10:37 PM