—無人島は夢の島—
「パパ見て、むじんとうだって。おもしろそう!」
先日四歳になったばかりの息子が、テレビを見て目を輝かせている。無人島開拓を企画にした番組が放送されていた。
私も昔は同じ様な事を考えていた。自分の手で自分だけの島を作ってみたいと、そんな夢を心の中で何度も描いた気がする。
だが大人になって、私はそうは思わなくなった。きっと夢を見られなくなったのだろう。
「パパはむじんとうで何したい?」
顎に手を当てて考える。
「そうだなぁ……。砂浜の上で一日中寝たいな」
最近は仕事続きでろくに眠れていない。何も考えずにぐっすり寝たいと思った。
……なんて夢がないのだろう。
「ぼくはね……、お魚さんいっぱい釣ってね、自分のお家作ってね、パパとママと一緒に食べたい」
「パパも食べていいの?」
「うん!」
息子の純真な笑顔を見て、思わず頬が緩む。
でも、もし本当に無人島に行くならば、息子の様に無邪気に楽しめたらいいな、なんて心の中で思った。
お題:無人島に行くならば
10/23/2025, 1:21:15 PM