いのちの数を灯す。お前が吹き消す。祝福に紛れて死神の高笑いが聴こえる。年齢分吹き消される蝋燭の数、その寿命年数分、それから+一本分の蝋燭が与えられている。ただの一本を吹き消す権利はお前にはない。ただの一本はいまこの瞬間も灯りゆるく輝いている。燃えている。あのひかりをお前が見ることはない。わたしが見ているあのひかりがお前に届くことはない。「近くで見て良いか」と、死神に乞う。いま我々の足元を照らすひかりの元は誰かの蝋燭だろうか。どうもよく見えない。お前の蝋燭だけがはっきり見える。死神は笑う。「それがお前の願いか?」顔など見えないがはっきり笑っているのが私には分かる。あの日蝋燭を吹き消して笑ったお前の顔を思い出す。ハッピー、ハッピーバースデー。私の祝福の声など届かなくても結構。
11/20/2023, 5:51:44 AM