アルベルト幸薄

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私は今日も働いています。女王のため、子どもたちのため、そしてコロニーの発展のため今日もあくせく働いています。自分でもそれらのために命の危険を犯してまで働いている理由がわかりません。外には危険がいっぱいです。田舎だったら他の生き物も沢山いて食料に困ることもなく、何より人間が少ないので我々にとっては夢の花園ですが、ここはあいにく都会。その中の公園にひっそりと暮らしている。公園なので当然奴らが来る。人間の中でも大人は割と好きな方です。我々を見てもとくに干渉してこようとしないので。ですが人間の子どもたちは嫌いです。奴らは何を考え次にどう行動に出るのかが全く予想がつかない。なので私の同胞も餌を巣に運び込もうとしてくる最中に奴らに踏まれてしまった。あまりにもあっけなく。奴らは殺したことにすら気づいていない。だが、それとは裏腹に食料が乏しいこの都会での唯一の食料は皮肉にも奴らが落としてくれる。奴らは食べ方が汚い。ボロボロと食べかすを落とす。我々はそれを巣に運ぶ他ないのです。それに奴らの中に時々ではあるが巣の前にお菓子を恵んでくれる子がいる。たまたまではなく意図的だと思って間違いはないでしょう。その子のことを神様と崇める仲間も多々います。私も感謝はしていますが、私の同胞を殺した奴と同じ種族。とくに見返りを求めず無償に食料を恵むにはなにか裏があるとにらんでいます。

私は虫が大好きです。自分でも変わっていると自覚しています。この前友達の誕生日に私のお気に入りのチョウチョの剥製を渡したら泣いてしまったので、そこで自分は変わっているのだと気づきました。最近はアリの観察にハマっています。アリ達は自分のためではなく、女王や子どもたちのために働いているそんな献身的な生き方が尊敬できるのでハマっています。なので尊敬と憧れの念を込めてビスケットを巣の前においています。ちゃんと運びやすいように砕いてからおいています。こっちが勝手に食べ物をあげてるだけなのにいつしか絆が芽生えているような気がしています。
「アリさんたちは私のことをどう思っているんだろうなぁ〜」

3/7/2024, 1:52:17 AM