vivi

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【不完全な僕】

ぼくにはなにかが足りていない。そのなにかがわからない。わからないことはとても怖くて不安になる。だから探してみることにした。
ぼくには手と足がそれぞれふたつずつある。目もふたつある。あとは鼻の穴も。髪の毛だってあるよ。でも歯は昨日抜けちゃった。歯が抜けたとき、ぼくはたくさん泣いた。どうして泣いたのかわからなくてまた泣いた。そしたら教えてもらったんだ、お空に投げると妖精さんが拾ってくれて幸せを運んでくれるんだよって。ぼくはお空に向かってたかくたかく投げた。どんな幸せがやってくるのか楽しみでなかなか眠れないんだ。
なにを話していたんだっけ?そうそう。ぼくにはなにかが足りていない。ときどき、ぽっかりと穴があるような気持ちになるんだ。この気持ちは一体なんだろう?隣のお家に住んでいるアリスは「朝、ママとパパからキスがもらえなかった」って唇をとんがらせていた。向かいのお家のマイクは「ゲームでお兄ちゃんに勝てない」って悔しそうに言っていた。ぼくはそうなんだ、って聞いていた。
きみに話していて思ったんだ。ぼくはキスをもらえたことがなくて、ゲームもお兄ちゃんもなくて、だからアリスとマイクのことが羨ましくなった。ぼくに足りてないものって、キスとゲームとお兄ちゃんなのかなあ?
話していたら眠くなっちゃった。今日も一緒に寝ようね、毛むくじゃらのジェームズ。お話を聞いてくれてありがとう。おやすみなさい。

8/31/2024, 10:22:44 AM