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オレが綺麗に育てた桜も、
もう少しで散ってしまう。
「いやぁ、やっぱ桜は散るの早いっすね〜」
「早いね…」
別れと出会いの季節に、いつもそばにいる桜。
「あ、主様。」
「ん?なに?アモン。」
「髪に桜の花びらがついてるっすよ。」
「え、どこどこ…?」
「オレが取ってあげるっすから、ちょっと動かないでくださいっす。」
「あ、ありがと…」
そう言って、主様についている桜の花びらを取る。
「ん、取れたっすよ。」
「ふふ、アモンもついてる。」
「え、どこっすか?」
「なーんて、嘘だよ。」
「オレを騙したっすね〜?」
なんてやり取りも、全部…オレの夢の中の話。
桜と一緒に、オレの気持ちも散ってしまえば
辛い想いも、この主様の想いも、無くなるのだろうか。
「ハハッ、なんて、無くなるわけないっすね。
さーてと。」
主様に贈るっす。この桜を。
どうか、オレたちとの別れが来ても。
忘れないでくださいっす。

4/17/2024, 10:15:19 AM