たまにはさぁ
頬杖をつき
白い指がグラスの淵をなぞる
目を引く真っ赤なドレスと
真紅のワイン
絶望感に浸ってみるのも
乙、じゃない?
分かっているような
分からないような
悟った言葉を吐かないで欲しい
もう
どうせ
始めから終わりまで
永遠に変わらない
真実は如実に示され
自分は永遠に許されている
助けて欲しい
許さないで欲しい
そのどれもが
聞いてももらえない
その理由は単純明快で
自分が恵まれたからだ
囲われ守られ愛され
それが変わらないからだ
そんな環境に胡座をかき
変わらない自分を
君は
殴ってもくれないが
それがどんなに
自分を傷つけたか
君は知りもしないだろう
嗚呼
そんな事なら
いっそのこと
…いや
それが君に対する裏切りで
怠慢である事を知っている
裏切ってみる?
甘い誘いには乗らない
もう、やり直せもしないからだ
悪化こそすれど
良くはならない病気のように
身体を蝕み
永遠に終わらない
夜は一層深くなり
思い出そのものを脅かしていく
愛、だったのだろうか
そんなモノが愛なんだろうか
思考の海から抜け出したくて
真上のライトに目を向ける
眩しい
痛い
どうしてしまおうか
すると、突然
隣の人物が動いた
漆黒のタキシードと
朱いドレスが触れる
あの女は
クスリと笑って
ワインを盛大に
ぶち撒けた
こちら側めがけて
…え?
一瞬
世界が
スローモーションになって
赤が目の前を通り越した
そして
バシャと静かな音
その冷えた液体が
体温を奪う
前髪から滴る雫が
あの日の涙に見えた
なんで?!
なんでなんだろう?!
なんでだよ!
この言葉
あーそうだ
ごめんなさい
たまには
ちゃんとしたかったのにな
3/6/2026, 9:30:15 AM