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いつもありがとうございます。
いたしてはいませんが事後です。
露出も控えめにして会話も特になく、勝手にシリアスを暴発させいる彼氏くんを書きました。
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俺にとっては少し窮屈なベッド。
横たわる彼女の意識は既になく、小さな寝息を立てている。
額や首筋に滲んだ汗を拭って、乱れた青銀の髪の毛を手ぐしで整えた。
いつもより浅い吐息は少しずつ整えられ、熱も少しずつ冷えていく。
脇の下で健やかな寝顔を無防備に晒すだけで、彼女はいとも簡単に俺の心を揺さぶった。
彼女のペースに合わせて進めていくはずだったのに。
気がつけば常に後ろを振り返り、彼女が側にいるかを確認しては、歩みを止めた。
愛も恋も、俺の心を全部押しつけたら、彼女は疑心暗鬼になってしまう。
それなのに、俺はひとりよがりなこの思いを止められなかった。
彼女の心が俺から離れてしまったら、俺はただの俺のまま、空っぽな人生をひとりで歩んでいくのだろう。
今さら彼女なしで生きていくことなんてできるはずがなかった。
だからこそ、頭ではずっと警鐘を鳴らしているのに、とめどなく溢れる彼女への気持ちを抑えられない。
俺の重すぎる心は、彼女の小さな体を容赦なく押しつぶした。
苦しそうにもがく彼女の姿すら愛おしい。
助けを求めて縋る相手が元凶である俺しかいないという、心地のいい優越感に支配された。
彼女の首筋へ唇を落とす。
「ん……っ」
彼女の意識が途絶えている今でさえ、愛おしくてたまらない。
好き。
好き。
好き。
好き。
柔らかく滑らかな肌の上を指先で滑らせる。
程よく熱と湿度を持った彼女の皮膚が、小さな刺激を拾っては俺を誘い込むように甘美に震えた。
「起こしました?」
不埒な手が内腿に触れていたせいか。
悩まし気に震えていた瞼がゆっくりと持ち上げられた。
「まだ……するの?」
「……」
無自覚から溢れた「まだ」という言葉に、ほんのわずかに落胆する自分がいた。
劣情に塗れた熱を暴かれたくなくて目を伏せる。
「しませんよ」
「ごめんね」
首を振って否定した俺に、彼女はもそもそと謝った。
自制するべきは俺であり、彼女が謝る必要はどこにもない。
慣れていない行為で散々、無理をさせて乱したのは俺だ。
「今、すごく眠……たくて」
彼女の足に触れていた手が抜き取られる。
どうしても離れがたくて強引にでも縋ろうとしたとき、細い指に力なく絡め取られた。
満たされていく側から、どうしようもなく渇いていく。
焦ったいほどの緩やかな動作は、俺の思考を丸ごと包み込んで麻痺させた。
「ちゃんと覚えてたいの」
絡めた俺の指先を、彼女はもう片方の手で包み込んで口元に寄せる。
彼女の吐息が指にかかった。
生温かい熱に、ドクン、と、心臓が大きく脈を打つ。
次第に心臓は早鐘を鳴らし始め、胸の奥を切ないほどにきつく締めあげた。
彼女がまろやかな眼差しで見つめただけで、俺の恋慕がぐちゃぐちゃに縺れて玉になる。
「だから明日」
「え……」
その湿潤な唇で俺の無骨な指を撫でられ、目を見張った。
艶かしい水音が大袈裟に耳に響き、息を飲む。
「起き、て……愛、し……て」
限界まで開く俺の目とは対照的に、彼女の瞳は閉ざされた。
再び意識を手放した彼女の口元で、俺の指は甘やかされたまま。
夜明けまではあと数時間。
光はずっと、俺の腕の中にいた。
『愛 − 恋 = ?』
10/16/2025, 3:21:17 AM