tiny love
見慣れた路地裏の隠れた喫茶店。
その奥の奥の方にいつもあなたは座っている。
湯気の出たカップを片手に、本を読みながら。
私はいつもカウンターに座るから、あなたと目が合ったことはない。
栗毛色の髪をした、赤い雫のピアスのあなた。
お互いに、存在していることは分かっている。
けれども、決して深くは交わらない。
ただ、たまたま同じ喫茶店にいただけ。
ただ、たまたま同じ時間帯にいるだけ。
それだけの浅い、浅い交わり。
隣人未満。顔見知り以下。
私たちの関係値に名称はない。
まぁ、それはそれとして。
あなたがこれからも、赤い雫のピアスでいればいい。
無表情に、かといってつまらないわけではない顔で
本を読んでいればいい、と思う。
10/30/2025, 10:00:33 AM