「夢を描け」
僕には、黒い血が流れてる。
光らない太陽が、僕たちのてっぺんだ。
地面を掘って、赤い土を通り抜けて、
手が汚れた者だけが、一人前として笑えるんだ。
頭を抱えて、しゃがみこんで、
涙と汗と、黒い血が混ざりあっても、
手を汚さなきゃ、赤い土は見えないんだ。
光を失った太陽は、不気味に口角を上げた。
僕は体も動かず、ただへらへらと笑って媚びた。
その瞬間、悟った。
もう一生、黒と赤以外は見ることができないのだと。
夢見ていた数々の色は、夢で終わってしまうのだと。
泣いた。正座して、俯いて、畳に涙の跡ができた。
【#136】
5/9/2025, 1:28:46 PM