とある恋人たちの日常。

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 仕事が終って空を見上げると、ビルの合間から紺色の空と満月が輝いていた。
 普段ならもう少し明るい時間に帰れるけれど、今日は残業が長引いてすっかり暗くなっている。
 
 空色って水色のイメージがあるけれど、こういう紺色も空色なんだよな。
 
 空色が好きと公言している俺と恋人。
 俺はこっちの色も好きなんだけど、彼女はこっちの〝空色〟も好きかな?
 
 吸い込まれそうな月夜にスマホを向けてパシャリと撮る。
 
 いつも見ている空だと思うけれど、月が煌々と輝いて、いつもと違うように見えていた。
 
 そのまま彼女に写真を送る。
 
『キレイな夜空だよ』
 
 そう送ってから駐車場に向かって車に乗り込むとスマホが震えた。
 
『お疲れ様です。キレイな紺色の空でこういう色、私好きです。気をつけて帰ってきてくださいね』
 
 彼女の返事を読んで、自然と口角が上がってしまった。
 
 同じように〝好きな青空〟だということも、俺を気遣ってくれる言葉も嬉しくて、安全運転で帰ろうと思った。
 
 早く会いたいな。
 
 
 
おわり
 
 
 
四六三、Midnight Blue

8/22/2025, 1:37:13 PM