誰か
(※10/2 「遠い足音」の続きのお話)
意識を失って何時間が経ったのだろう。
深い深い眠りから急に現実に戻って来るようにパッと目を開けた。
私はまだ同じ場所に倒れていた、不思議と痛みは感じない。
普通に起き上がれたのでその足で教室に戻ると、誰もいなかった。
学校中を歩き回って「誰か、誰か、誰か──」と叫んだが誰も反応しない。
一周して教室へ戻ると、私の席に中年くらいの女性が2人居た。
2人とも静かに涙を流しながら口々に何かに謝っているようだった。
「ごめんなさいごめんなさい。あなたから、人生を奪ってしまって…。」
「一瞬の浅はかな嫉妬心で、なんて恐ろしい事を。ほんとうにごめんなさい。」
その言葉を聞いて、私は思い出した。
彼女たちだ、私を突き落として殺して、ほくそ笑んだ。
彼女たちの顔や手には深いシワが刻まれていた。
私がこの世を去ってそんなに長い時間が流れたんだ。
死ぬ時、私は不思議と穏やかだった。今涙を流しながら謝る彼女たちの姿を見て、彼女たちがまだのうのうと生きている事に不思議と恨みが湧いてくる。
『殺してやりたい、誰か、誰か、こいつらを殺して。誰か──』
10/3/2025, 11:18:48 AM