ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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放課後

放課後は暇だ。部活も生徒会も塾もバイトもやってないから。クラスの不良は何が楽しいのかうんこ座りしてモクやアンパンやってるけど、僕はそういうのもやらない。学生運動なんかもちろんやらないノンポリ。だからホントに暇で暇だ暇だと思いながらアーケード街を歩いてたら知らない人に呼び止められた。

「こんなところにいたんですね。街歩きは楽しかったですか? もう帰りましょうね」

柔らかな口調の男性はなんとなく頼れる先生っぽい雰囲気があるけど、高校では見かけたことがない。補導でもないらしい。誰だろう。僕は有無を言わせず車に乗せられ、見覚えのあるようなないような建物に連れて行かれた。「老人ホーム瑞恵園」と看板にある。

あ、と思った。突然頭の中がすっきり晴れやかになる。僕を連れてきてくれたのはいつもの介護士さんだ。名前は思い出せないけど。そして、ここに僕の家がある。学校どころか人生の放課後を迎え、認知症になった僕が暮らしている、僕の終の棲家が。

10/13/2024, 7:05:48 AM