僕たちの出会いは
打ち上げられた波が砂浜を撫でるような
あまりにもささやかなものだった。
引力のように引き合ったはずなのに
些細なことで言い争った。
背中を向け
涙を流し
寂しさを埋めるように
また抱きしめあった。
もつれた糸は何度も絡み合い
でも切れることはなく
いくつもの束になって
より強固になっていった。
あれから10年。
海を眺めて微笑む君。
ひまわり畑ではしゃぐ子どものような君。
花火の音が大きいと耳を塞ぐ君。
愛おしそうに僕を見下ろす君。
これまで君と紡いできた日々の
なんと煌びやかで美しいことか。
これからは毎年この日に
ひまわりの花束を贈ろう。
僕を照らし出す太陽のような君に。
さざなみが君を連れて行ってしまわぬように。
【君と紡ぐ物語】#207
11/30/2025, 11:35:29 AM