最後の晩餐は何にする?なんて、もう何万回も言われたであろうセリフを僕は頭に浮かべていた。
沈黙があっても苦にならない関係性がいいなんて言葉もあるけど、まだ君のことをあまり知らない僕にはこの言葉は響かない。
僕が頭に浮かべていた言葉を君に話そうとした時、君は先に口を開いた。
「明日世界が終わるならどうする?」
僕達は似た者同士だ。同じ空間で、同じ沈黙の中、同じようなを事を考えていた。
僕は冷静に言った。「好きな人と過ごしたいと思うよ」と。
「ふーん。」と君は言って続けた。「私は、君の鼻の横にあるホクロを取りたい」
「え?」僕はちょっと理解が出来なかった。
「その、主張の強いホクロを取りたいの。お金の事は気にしなくていいし」
「それが、最後にやりたいこと?」僕はなんかよくわからない顔になってる気がする。
「うーん。別になんでもいいんだけど、なんかスッキリしそうだなと思って」
咲きかけていた恋の蕾がポロッと取れた気がした。
5/6/2024, 2:14:25 PM