霜月 朔(創作)

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大空



哀しい程高い大空に、
吹き抜ける冷たい風が、
容赦無く、頬を刺す。
遠くから聞こえる虎落笛の音が、
胸の奥で冷たく響く。

抜ける様な冬の空。
雲一つない、その蒼さは、
余りにも清らかで純粋過ぎて、
迷い、嫉妬、後悔、未練――
俺の醜い心をすべて照らし出す。
思わず大空から、
顔を背けてしまう自分が、
酷く惨めに思えた。

大空から見れば、
泥に塗れ、光を求める俺は、
酷くちっぽけで滑稽なものだろう。

それでも、大空に手を伸ばす。
ただ寒風が、その手から、
僅かな温もりさえ奪っていく。

もし、この酷く冷たい手を
お前に向けて差し出したら、
お前は、
この手を取ってくれるだろうか?

お前には、
俺と共に地上に縛られるより、
明るい大空に羽撃く方が、
よく似合っている。

だから、俺はただ、
冷たい風の中で、
お前の背の羽撃く光を、
見守るしか出来ないんだ。

12/22/2024, 5:49:16 AM