—木枯らしヘア—
木枯らしが吹きつけてきた。
それを正面から受け、隣で歩いている彼女と一緒に、髪を持ち上げられた。
「せっかく髪の毛セットしてきたのに……」
彼女はそう言い、そばの店の壁を鏡代わりにして、前髪を整えた。
「そんな整えても、また風に吹かれるよ」
「そうだけど……」
彼女の視線は、僕の頭に向けられた。
「あなたはもっと気にした方がいいと思うよ」
「え?」
彼女は、今にも吹きだしそうになっている。
彼女にならって自分の髪を見てみると、髪が前に立っていた。
まるでドラえもんに出てくる、あのキャラのようだ。
「顔、近づけて」
彼女にそう言われて、近づけると、髪を分けられた。いつも髪を下ろしている僕は、なんだか落ち着かなかった。
「うん、似合ってるじゃん」
「そうかな」
彼女がそういうのだから間違いない。
しかし、安心していると、また木枯らしに吹きつけられた。
さっきと同じように、容赦なく髪が立つ。
「前見て」
彼女は、スマホで自撮りをした。
二人とも前髪が立てられたツーショットが撮れた。
僕たちは、顔を見合わせて笑った。
お題:木枯らし
1/17/2026, 2:00:47 PM