目的地はもう目の前に来ているのにも関わらず、僕は羅針盤を見続けていた。行き先が見えていてもなお、羅針盤を見続けていたのだ。何故なのかは分からない。見たいから見たわけではないが、何故か目を離すことができなかった。この羅針盤に呪か何かがかかっているのか。そんなこと知るわけがない。ファンタジーじゃあるまいし、たかが羅針盤一つでそんなくだらないトリックを仕掛ける呪術師があろうものか。所詮方位を知るためのちっこい道具でしかないのだから。深く考えすぎなのかもしれない。…だが、これが羅針盤そのものである、という保証は、一切ない。羅針盤に似た監視カメラで、何処其処らのUnknownとやらが僕らのことを見続けているかもしれない。だとしてそのUnknownの目的は何なのか。見当は一切つかない。はたまた、これが時限爆弾で、僕らをそのまま爆破して散り散りにしてやろう、なんて考える輩がいるのかもしれない。いずれにせよ、これらは例にもよってUnknownによって執り行われ、僕らに何らかの攻撃を行おうとしているのかもしれない。目が離せないのは、これが理由なのか?Unknownによる大規模犯罪を予感する僕の脳、そして相変わらず大人しく行先を示し続けている羅針盤。もし本当に爆発したら……?それにより何がある。Unknownの目的は依然として深まるばかり。気づけば其処は港だ。すると羅針盤が突然として光り輝き、消えてなくなった。あまりの急展開に僕は開いた口が塞がらなかったのだが、どうやら羅針盤に目を向ける理由はこれらしかっな。こいつが放ったスーパーパワーなるものが、僕を惹きつけていた。羅針盤が消えたので、帰る術が全くないものとなってしまったが、僕が作り出したUnknownとやらが、実在したのか…?自爆テロとかではなかったが、そうまでして僕を別世界に引き下ろしたいのか、という執念深さがあった。
1/21/2025, 1:41:38 PM