暗月

Open App

世界の終わりに君と


世界はそろそろ終わるらしい
君は怖くないらしい
俺は、ちょっと怖い
何で終わるのかも知らないから怖い
君は知っているらしい
何でか聞いても答えてくれない
その世界の終わりは、終わったあとは、また世界が生まれるの?
君は、あぁそうだね。
そう言った
「貴方も来るかい?次の世界」
君がにこっと笑った
「次の世界はここよりもうんと広い。水で出来ているような世界だよ」
そのとたん強風が俺たちを囲むように吹いてきた
君の目を隠していた長い前髪から黒色の、いや、漆黒の瞳が露になった。
その瞳にはもう、光は消え去っていた。悲しみなのか、絶望なのかは分からないだが、君には希望が残っていないらしい。
君は、世界と共に消えてしまいたかった。だがそれを世界が許してくれないと語った
それを踏まえ、君はまた
「貴方も一緒に、俺と来るかい?」
そう問いかけてきた
「俺が、君と、一緒に次の世界に行けば君は、君は救われるのか…?」
君は、驚いたような表情を浮かべたがすぐうつむき、
「それは、分からない。でも、もう1人でいたくないんだ…ごめんねこんなこと、」
君の声が震える
「謝らないで。俺も行く俺がいるだけでも支えになるならそれで良いよ」
「え、」
俺は君が大切だったそれだけだ
次君の目を見ると光が戻りかけているのか薄く赤が見えた

――セカイガ消滅シマス――

「…は?」
君が慌てる
「こんなはずじゃ…」

―片方キエロサスレバ次ノ世界ガウマレマス―

「そんな、」
君の顔が青ざめた

「俺たちは消えないだから全部消せ記憶も体も魂も、」

「は?なに言って」

「これでいいんだ君が救われるには」

―ワカリマシタデハ世界、貴方二人ヲ消します―

「最後に君に言いたいことがある」

「愛してた」

―――――消去完了――――――

6/7/2023, 1:34:07 PM