おとなさま

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君と最後に会ったのはもう何ヶ月も前のことだ。

でも僕は、僕だけがずっと忘れられなくて、毎日頭の中に君がいる。君との思い出を毎日頭の中で再生している。

なんて馬鹿馬鹿しくて女々しいのだろう。

ふと、目の前に何かが翻る。
ハンカチだ。


「あの、落としましたよ」

「あっ、ありがとうございます」


その瞬間、僕の時間が止まる。
目の前にいるのは、毎日僕が焦がれていたあの子だからだ。


「…えっ、あ〜!びっくりした!拾ってくれたのあなただったんだね、ありがとう。あと久しぶり!」

「う、うん」


離れてしまう前のあの子のまま。


「わ〜、懐かしいね。元気そうでよかった。…なんか久しぶりに会うと、緊張するね」


ああ、そうか、そうだよな。
毎日君との会話を思い出して、毎日目で追って、万が一、いや、億が一君に会えたらどうやって話そうと考えていたのは、僕だけだ。
君は僕のことなんて忘れて日々を生きているのに。

君が僕に最後に会ったのは何ヶ月も前のこと。
だけど、僕が君に最後に会ったのは、まるで昨日のことの
ようで。


「私待たせてる人いるから、もう行くね。」


今日、君と最後に会った日が更新された。
けれど僕にとってはいつまでも、昨日のままなんだろうな。






ー君と最後に会った日ー

6/26/2024, 1:37:24 PM