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「神様だけが知っている」とよく未来の事象を指して言われるが、実際のところ今に連なる未来の結果なんてものは例え神とて知る術は無かったりする。神は決して全知全能などでは無い。不可能だって沢山ある。そもそも人の信仰無くば存在出来ない程度の、ただ人より高位であるが故に崇められているだけの存在なのだ。

では、神とはなんの為に存在するのか。勿論人の手に負えない秩序の乱れを正す事もある。主に天変地異や度を超えた怪異の干渉などだ。が、そんなものはそう頻繁に起こる事では無い。

神とは即ちこの世を記憶するモノである。
神とは即ちこの世を記録するモノである。
神とは即ちこの世を知るモノである。

神の役割と言えばこの世の全てを知っておくということである。人は強く賢い。後世に今を残す数多の術を生み出した。だが全てを記録し残すのは人には不可能だ。人はそこに必要性を感じなければ実行には移さない。徒人が何を思い誰と出会い何を知りどう生きたのか、そんなものに興味を持つ人は居ない。

神は人の記憶に残らないこの世の全てを記録する。

何処かで誰かが花を手折った。
何処かで誰かが道にゴミを捨てた。
何処かで誰かがゴミを拾った。
何処かで誰かが虫を助けた。
何処かで誰かが恋を諦めた。
何処かで誰かが道を譲った。
何処かで誰かが壁を殴った。

誰も見ていない、当人ですら碌に覚えてないかもしれないそれらは神様だけが知っている。


2023.07.05朝「神様だけが知っている」#07

7/4/2023, 10:25:13 PM