トモさん

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虹の底

そこには 
セロファン紙のように薄い玉ねぎの皮が
いつまでも舞って 
尽きない光であるかのように
たったひとつの色を生もうとするのに
ひるがえるたび 屈折した光は
なないろの飛沫となり 
見えない目に蜻蛉を散らす

手さぐりで くちに感じる色だけを
音たてて啜りつつ
玉ねぎの皮の 雲母となって
いつかの風へ消えてゆくのを
黒土に埋もれたからだが
ずっと見ていた

7/28/2025, 10:21:44 PM