コルチカムを贈りました。
カランコエを贈りました。
カスミソウを贈りました。
白薔薇を5本贈りました。
貴方と過ごせたこの日々に、
これ以上無い感謝を贈りたかったから。
勿忘草は贈りません。
クリスマスローズも贈りません。
二度と交わらない道の先で、
貴方が幸せになって欲しいから。
<勿忘草>
空中に放り出される足。
強い勢いに乱れる髪。
ねえ、と瞳は青を写した。
「このまま精一杯漕いだら、空に届かないかな」
馬鹿を言え、と背を見上げた。
「柱に鎖が絡まってお仕舞いだ」
ふうん、と指が握られた。
「一番高いとこで手を離しても?」
馬鹿を言え、ともう一度投げた。
「それで行けるのは石積みの河原だけだ」
そっか、と靴裏が地面を擦った。
「飛行機やロケットなら行けたりしない?」
馬鹿を言え、と目線を合わせた。
「適度に善行積んで死ぬまで生きろ」
それしかないの、と手が伸ばされた。
「君の隣に居たいだけだったのに」
それしか赦さない、と通り抜けた手を見送った。
「君に生きて欲しかっただけだ」
<ブランコ>
2/3/2024, 3:19:59 AM