三神狐

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 空気が冷え込む帰り道、隣で鼻を赤くしながら歩くあなたが呟いた。
「好きなの」
「何が?」
 唐突な発言に思わず聞き返す。
「雪だよ、雪」
 雪にしてはまだ早い季節だ。
 そう思いながら空を仰ぐ。どんよりとした灰色の雲、湿気をまとった冬の匂い。
「明日降るかなぁ。降ったらきっと喜ぶよ」
 それは、あなたの妹の事だろう。治らない病気だと告げられ、病室から出られない妹の。
「早く降ってくれないかなぁ」
 間に合わないよ。
 あなたは空を見上げた。笑っているのに、目の端に小さく涙が浮かんでいる。

 妹の為に、雪が降ることを祈る。
 それは、本当に小さな愛だった。

10/29/2025, 1:41:41 PM