彼は素直で嘘がつけないらしい。
まぁ目を見てると分かる。透明で、キラキラ輝いていて......実(みのる)と違って誠実で一途だから。
だから余計に俺じゃない方がいいって考える。
君はまだ、これから色んな人と出会う。なのにこんな化粧をして元カレを唸らせようとしてる奴に構ってどうするんだ。どう考えても君は俺とじゃない。そう思ってるのに。
「...あのさ、海斗(かいと)」
「ん、何ですか?」
彼は俺に呼ばれて振り返る。
そう、その目だ。ただ愛してますと言わんばかりの優しい目。俺はその目に怖気づいて何も言えない。言いたくないだけなのかもしれない。
「......なんでもないよ」
「?そうですか...」
彼は再び花を見始めた。
君は俺に一目惚れしたと言っていた。じゃあ俺から容姿を取ったら、君は俺を愛してくれるのか?顔がぐちゃぐちゃになっても?真っ黒な怪物になっても?
聞けない。
聞きたくとも怖くて聞けない。その理由はたった1つ。
今ある幸せを手ばなすのが怖いから。
ただそれだけ。
お題 「君の目を見つめると」
出演 雪 海斗
4/6/2024, 5:59:01 PM