ハケンハゲ

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「過ぎた日を想う」


「何やってんだよ、おっさん!」

またドル箱をぶちまけてしまった…これで7回目だ

「君、もう半年働いてるよね?そろそろミス減らして貰わないと…」

ガンジーと親しまれ誰にでも優しい店長のこの言葉は胸にくるものがある

パチスロ新世紀で働き始めて半年…この店の厄介者となっていた

休憩中も誰も話しかけてこない…この空気に耐えられず外に出た

公園のベンチに座り空を眺める

雲一つない青空が広がっていた

二十数年でよくここまで復興出来たものだ

1人になると救世主だともてはやされていた頃を思い出す

あれ程、平和を望んでいたのに…

暴力が支配していた世紀末、私は一子相伝の暗殺拳の使い手として街の厄介者のツボを突き膨らませる毎日を送っていた

最初はただの恋愛のもつれから使い始めた暗殺拳だったがそのうち周囲からもてはやされ、いつしか救世主として祭り上げられた

そして最後は同じ暗殺拳の使い手と戦いなんとか膨らませ世紀末に終止符をうった

良かったのは最初の三年だけだった

口下手な私は講演会でも上手く話すことができずに一回りするとお呼びがかからなくなった

パチンコの営業にも行ったが皆、台に夢中で目もくれない

そのうち金も底をつきアルバイトの毎日を過ごしている

この私が新世紀という店で厄介者とは皮肉なものだ…


「ユリアーーー!!!」


かつての恋人の名を叫ぶ

平和の象徴、ハトが一斉に逃げだす

暴力の時代、戻ってこい…!

かつての救世主は空に願った

10/7/2023, 3:20:44 AM