白眼野 りゅー

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 終電を逃してしまったので、君の部屋に泊まることになった。

「……僕は床で寝るよ。この部屋、使って大丈夫?」
「え、でも、私今光るパジャマ着てるよ?」
「は?」


【光輝け、暗闇でこそ】


「えーっと……話の繋がりが見えないんだけど」
「だから、私のパジャマが光るところ、見たくないの?」
「えぇっと……」

 見たい見たくないで言えば、いい年した大人のパジャマが光輝く様はだいぶ見てみたい。

「……遠慮しときます」

 が、そこは理性で踏みとどまった。彼女の部屋に足を踏み入れたときは、まさかこんな理由でどぎまぎする羽目になるとは思っても見なかった。

「えっでも、結構がっつり光るよこれ。見たくないの?」
「この状況で光の強さはあんまりアピールポイントにならないかな……」
「ほら、この、目のところだけがらんらんと光るんだよ!」
「なんでそんな不気味なデザインにしたのかだいぶ気になるけど、遠慮しとく」

 追加のアピールもかわしつづけていると、彼女はややムキになった表情で

「間接照明代わりにもなるよっ!」

 などと、頓珍漢なことを言う。

「……えーっと、だから?」
「あっ、あれっ? その、真っ暗だと、やりづらいのかと思って……」
「…………何が?」
「……」
「やっぱり、そういうことをする目的で僕を寝室に連れ込もうとしてるだろ君! だから行きたくないんだよ! 僕はここの床で寝るから!」
「えー、意気地無し」
「あと、光るパジャマは間接照明代わりにはならない!」
「じゃあ、今度二人で買いに行く?」
「もうそれでいいから僕の腕を引っ張って寝室に行こうとするの止めてもらえる!?」
「え、でも、まだパジャマが光るとこ見せてないし」
「もうそれはいいから!」

5/16/2025, 7:04:33 AM