あなたと想いが通じ合った時、まるで靴紐だと思ったの。靴紐のはじとはじが結ばれあって、ひとつになるような。まるでそんな感覚だったのよ。
綺麗な蝶々結びではなかったのかもしれない。確かに歪だったかも。けれども、一度もほどけることは無かったのよね。半世紀間結ばれていた靴紐は硬くなってもう二度とほどけることはないと思いたいわ。
笑いながら、口を滑らす。微笑んでいるのに、涙が出るのは人生で初めてだった。最初で最後だろうなと思った。人生を連れ添った伴侶はもう長くなさそうだ。管に繋がれた私の愛する人は、それでも私の伴侶を全うするために、必死に手を上に上げて私の頭をポンと撫でる。もう青春なんて、とうの昔に終わったのに今も新鮮に恋をしている。私たちは必死に生きていた。
/靴紐
9/18/2025, 9:07:12 AM