郡司

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スマイル

ここ半年ほど、なにかと「認知症」の祖母が微笑む。まさに「アルカイックスマイル」という表情だ。目の光もとても平和に澄んでいて、見るたび目を奪われる。もともと表情豊かな人だが、この微笑みは新しく、美しい。

自分はあんなふうに微笑むことができるだろうか。私の中にはまだ「澄んだ平和の喜び」は多くない。

あの微笑みを見ると、「笑顔は贈り物」ということがまごう事なき真実だとわかる。それがたとえ、はっきりと自分に向けられたものでなくても、あの微笑みは豊かに広がり響くからだ。

いつか、あんなふうに微笑んでみたい。それを湧かせる心持ちを体験したい。

もしかして、あと半世紀を生きないと掴めない心持ちだろうか。なにせ祖母から見れば、私はヒヨッコのペーペーだ。「五十年早い」だろうか。
今の私ときたら、焔を湧かせて一仕事なして、一段落したら破顔でぶっとばすようなありさまだ。「稚い」と揶揄される程度。…伊達じゃない年寄りってすごいな…

2/8/2024, 11:15:13 AM