能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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【透明】
私は博麗神社の博麗霊夢。今日も幻想郷は平和である。今日も明日も明後日もそれが続くだろう。人里のみんなはそうであってほしいと願っているはずだ。でも、私にとっては物足りない。あのときの異変のように本気を出せる場がほしい。そうなことを考えていると、
魔理沙「霊夢。今日もひましてるか?」
霧雨魔理沙。私の親友。または商売敵とも言える存在だ。
霊夢「どうしたの?」
魔理沙「いや~。最近大きな異変がなくって魔法の研究をしてたんだけどそれが完成してさ。それを見せに来たんだよ。」
そう言いながら、何かを取り出そうとする魔理沙。
魔理沙「じゃじゃーん。透明になれる薬さ。これをかけるだけで透明人間になれるのさ。」
霊夢「私の技で半透明にならできるけど、まさかほんとに透明になれるの?」
私の能力は「空を飛ぶ程度の能力」だ。で、さっき言葉に出したやつがこの能力の応用版。「夢想転生」だ。
魔理沙「あぁ、もちろんさ。私がやってみようか?」
霊夢「もとに戻る薬とかあるの?」
魔理沙「大丈夫。治す薬なら作ってあるから。」
そして、魔理沙は頭上から薬をかけた。見事に、欠けたところから透明になっていく。完全に透明になったあと、また頭上から下に戻っていた。その時、他の薬を頭上に掲げて。
魔理沙「ふぅ。どうだ?すごいだろ。霊夢もやってみるか?」
ちょっとだけ興味を持った私は、それを試すことにした。
霊夢「行くわよ。」
私も魔理沙のように頭上から薬をかける。あれ?何も変わってないような。
霊夢「魔理沙。私のこと見える?」
魔理沙「いや、見えてないぞ。」
なるほど。そういうことか。
霊夢「声は聞こえるみたいね。じゃぁ私、このまま出かけてもいいかしら。」
魔理沙「だ、大丈夫か?妖怪かと間違われるかもだぞ?」
霊夢「平気よ。なんたって、私は博麗の巫女なんだから。」
魔理沙「そうか。なら、早く帰って来いよ。私は家に帰っているから、戻りたい時は家に来い。」
霊夢「わかった。」
そう言い残して家を去った。
 空は黄金に輝き、太陽が沈みかけている時刻。私は、魔理沙の家に来ていた。ノックをする。しかし、反応がなかった。
霊夢「入るわよ。」
私は無断で入った。1階は誰もいなかった。上に行くと、研究室で何やら音がした。そこに入ってみると魔理沙がいた。静かな空間で彼女は集中している。
霊夢「魔理沙!魔理沙!透明を戻して頂戴。」
そう問いかけるが彼女はピクリとも動かず、作業に取り組んでいた。少しムカついた私は、魔理沙に向かってスペルカードを使う。
霊夢「霊符『夢想封印』。」
しかし、その攻撃は彼女の体をすり抜けた。私は驚いた。技まですり抜けることができるなんて。すり抜ける?何かがおかしいと思った私は魔理沙の肩に触れようとした。私の予想はあたっていた。だが、まだ希望はある。近くにあったプリントを触ろうとする、が、それも掴めなかった。
霊夢「なんで。」
先ほど、私はドアの開け閉めが出来ていたというのに。私は、その部屋を飛び出し、棚の中にある、私と魔理沙の写真を見た。私が透けている。これはどういうことだ。冷静に考え、一つの仮説ができた。それが「夢想転生」。これは、「空を飛ぶ程度の能力」の応用。自分の体を世界から浮かすことで、なんの衝撃も喰らわない。また、自らものを触れることができない技。戦うときは、攻撃を繰り出す一瞬。コンマ1秒、その技を解いて当てている。この技は長時間使用できない。なぜなら世界から完全に浮いてしまう可能性があるからだ。そして、魔理沙が作ったあの薬。あれは「無想転生」を持続的に使用する薬。すなわち、私は「無想転生」を使いすぎたのだ。魔理沙のあの言葉をちゃんと聞いておけば。全て私のせい。私が招いた異変。そして、この異変は誰にも知られることのなく、私とともに消えていく。
霊夢「あ、、、、、、、、、、、、。」
消えていく。私の意識が消えていく。博麗霊夢という存在が消えていく。私は、透明な世界へ転生された。

5/21/2024, 10:45:40 AM