座椅子に腰をかけ、煙管を吸う。檻の外を眺めて、ため息を吐く。「あ、あの……」「……いらっしゃい、こっちおいで」襖が遠慮がちに開く。色目と手馴れた動きで自分の元へ誘導して、そっと相手の太ももに手を添えた。逃げよう、なんて考えたことは無い。考えすら思い浮かばなかった。甘い音と衣服の擦れる音が響く。何故こんな事をしているのか、なんて考えるのはとっくの昔にやめた。これは何ら変哲のない、ただの日常。『日常』
6/22/2024, 10:26:15 AM