"ひらり"ひらりと舞う花弁が水面に落ちた。花びらを起点として緩やかに波紋が広がり、幾つもの綾を成す。空を映す水鏡は崩れ、それでも新たに描かれる景色は例えようもなく美しい。以前はよく花見に行った。咲き誇り、上から降る花に歓声を上げる人波の中で、ひとり散りゆく花の末ばかりを見ていた。
3/3/2025, 2:57:05 PM