或る本の巣、模写。

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6月20日(木)

鼻詰まりが抜けない
耳の奥にも詰まり感が出て
イライラする。
2人がけのソファーに、だらしなく転がる。

『またそんなところでー。
 休むならベットにしたほうがいいよ』

スマホの通知に呼び出され
推しの配信をつけても
あらゆる穴が詰まっているような気がして
全くもって楽しめない。

『はい、これどーぞ
 ホットミントティーだよ。
 リラックスできるといいな』

こんな時あいつがいたなら。
慢性鼻炎も、低気圧の頭痛も
あいつは趣味だかなんだかのハーブで解決をする。
くだらない葉っぱに、俺は興味がわかなかった。
ただ面白そうに話すあいつが
可愛くもあり、憎くもあった。

『ホワイトウィロウと
 フィーバーフュはね、痛みに寄り添うハーブなんだよ』

本当はもっと
めちゃくちゃ大事にしたかった。
けど、でも、だって。
あの時の俺は、今の俺とは違うから。
わかってなかったんだ。
……くそったれが。

さぁさぁと雨が降ってきた。
やはりこの頭痛は雨の前触れだったんだ。
ここ数日こんな体調が続いたから
鎮痛剤も午前飲んだ分で切らしてしまっていた。
悪態が止まらない。

このままいてもイライラするだけ
そんな午後をなんとか振り切ろうと立ち上がり

近所の薬局に行くため短パンに履き替えた。
ポケットの中に違和感が何かある。
カラオケ屋でもらった飴だった。

家を出る。
傘をさして、聞こえの悪いハズの音楽を聴く。
口の中で転がるクソまずいハズのハッカの飴が
少しだけ気分を軽くした。

6/20/2024, 1:45:46 PM