現実逃避
重く閉ざされた扉の向こうは、多分桃源郷なのだと思う。
彼は精巧な機械のパーツを睨みつけて、再度工具を持ち替える。少ししてパチンと音がすれば、それは作業がひと段落した合図だった。
漸く顔を上げた伊波は、まるでどこだって見えいないようだった。同時に、見たいもの全てを目にしているようでもあった。
この部屋は桃源郷であり、監獄であり、脱出用ダクトなのだろう。ここに足を踏み入れるのはいつだって彼だけだし、俺たちにそれが許されているのかも怪しい。
2/27/2026, 2:43:58 PM