苛立ちに先んじて、おれは得も知れぬ不安に襲われていた。
おれがまくし立てたであろう言葉の端々がじめじめとした薄暗闇にボトボトと落石していく。
寸刻前の光景がパチ、パチ、と視界の片隅で小さく弾けながら、ねっちょりとしたミックスソフトの境目が溶け出してぬらぬらと互いを侵食していくように、風景はねじまいていく。
あら。
と気づけば、おれのからだもいつの間にやらそれに巻き込まれているようだった。
指先で風呂の温度でも確かめるような気楽さで遊んでいたのに、どうやらもう後には引けないらしい。
あ、あ、ぁ、あ、あ゛あ!
音や光や重力が、勝手気ままにとびまわる。
ルールや約束事が意気揚々と世界から逸脱していく。
砂埃が寒い。星が喉を搔く。天ぷらの窓。虹。虻。
もーういいかい?だーまだよん
貴方は、どこにいるのだろう。
毎日のように、顔をだしては
酒瓶を手に、おれはここから
宇宙へと旅、飛び立っている。
8/27/2025, 5:26:26 PM