無色の世界
それははじまりだ、と人は言った。
何色にも染められていない、まるでキャンバスのようなそこには何もなかった。
ある人が言った。
それは君だけの世界だ、と。好きなものを集めていいし、好きなように色をつけていい。混ざりに混ざった色が綺麗じゃなくても、黒くなってしまってもいい、と。
君が経験したことが形になって、君が感じた気持ちが色になって、いつかここは君の世界になる、と。
だから、まだ何色にも染まっていないここは、はじまりだ。色のない、味気のない世界だけれど、君が色をつけてくれるのを待っているんだよ。君の世界になるのを待っているんだ。
4/18/2023, 1:31:10 PM