初心者太郎

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『台風は日本列島を北上し、太平洋上で温帯低気圧に変わりました。今日は台風一過の青空が広がり、各地で強い日差しが戻ってきそうです』

テレビの中の、お天気お姉さんが言った。東京の映像は、雲一つない青空。ただもう九月の中旬だというのに、一向に秋は訪れない。まだまだ暑い日は続くようだ。

「やばっ。もう三十分だ」

私は朝食のトーストを口に突っ込んで、牛乳と共に流し込んだ。そのまま急いで歯磨き。今日は、三日ぶりにテニス部の朝練があるので早く家を出ないといけない。

「行ってきます!」
「いってらっしゃい!」

扉を開けると、日差しが肌を刺してくる。日焼け止めのおかげで、紫外線対策はバッチリだ。
私は自転車を走らせ、学校に向かった。

七時、学校に着いた。
急いで更衣室で着替えた後、テニスコートに向かう前に、お手洗いで乱れてしまった髪型を整える。

練習は七時十五分から。少し早く着いたのには理由がある。

私はいつもの場所から、遠くに見える彼の姿を見つめた。弓を弾く、彼の素敵な姿をバレない様に覗き込んだ。

そう。弓道部の彼が好きなのだ。私は、一年くらい片思いをしている。朝練がある日は、こうやって彼を見るために早く着いているのだ。

台風が過ぎ去って、私の恋が再開した。

今日はどうやってアプローチしようかなと、頭の中でシミュレートしながら、テニスコートに向かった。

お題:台風が過ぎ去って

9/12/2025, 12:54:29 PM