海を見に行っても何も解決しなかった。広い鏡面。揺らいで、光の届かない未知を堪能している。私はその生命のスープの中に溶け込むことが出来ない。ここに私の群れは無い。波は誘うように広がって、惑わすように引いていく。物としての私は歓迎しているらしい。
しかし、駄目なのだ。私の中には物語がいるから。サンダルの底から水が染み出す。小学生の私がそこで燥いでいる。鼻に水が入って泣いている。中学生の私が日傘をさしている。日焼けに文句を言っている。私が「もう帰る?」と聞くと不服そうな顔をした。
そう。それなら、もう少し。
8/23/2024, 12:53:30 PM