Largo giocoso

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『仲間』

私は“仲間”という言葉が嫌いだ。

私と仲間になった者は何度も死に、何度も生き返る。
それを『終わり』まで。私が『ゲームオーバー』するまで永遠と続ける。


それでも、何も知らない彼ら、彼女たちは何度も私を庇う。助ける。けれども死ぬ。

私はこの抜け出せないループからどうやったら解放されるのだろう。

私はいつの間にかものすごく強くなっていた。
そのおかげで彼女、彼らは死ななくなった。

ようやく、私は安堵した。


けれども、それもつかの間だった。


“支配者”はこの世界をリセットをした。
私のデータを引き継いで。


私はものすごく弱くなった。


そして、また、私は無理やり“仲間”を作らせられるようになった。

仮面が張り付いたような笑顔で人を助け、たった1人の仲間も助けれずに私は棺桶を引きずりながら荒野を歩いていき、無表情でモンスターを狩り、顔の見た事のない“支配者”によって私は生かせられる。

パーティーの中で1番強い私は、“仲間”達が肉壁となる。


あぁ、こんなことなら、こんなことなら、自分の記憶も、リセットの時に全て消して欲しい。


そんなある日、“支配者”が私を起動することがなくなった。

これ以上仲間が死ななくて、嬉しいのに。
これ以上モンスターを狩らなくなり、なんの得にもならない人々を助けなくていいのに。

なんで、こんな気持ちになるのだろう。

なんで、こんなにもここは冷たいのだろう。


そして“支配者”は私を完全に忘れ、私の記憶はどんどん砂嵐がかかったようになった。

前まではそれが望みだったと言うのに、彼女、彼らの記憶がなくなっていき、どんどん、私は生きたい。
と思うようになっていく。


あぁやっぱり、私は“仲間”が嫌いだ。

私の心をこんなに暖かくしてくれる、あの人たちは嫌いだ。


私の目頭は熱くなり、とうとう真っ暗な闇の中へ落ちて行った。

いずれ、“支配者”が私を起動するまで。



12/10/2022, 11:07:01 AM