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この骨身に厭がらせかと思へるくらいの雪である。まったく莫迦にしているらしい、嗚呼、人生への悔恨さへおれは抱かないのだ。畜生。おのが身と吐いた息しかおれはとんと持ち合わせていない。どころかおれの肺を出た瞬間から息さえおれのものではない。考へても考へても凍えるばかりで如何にもならぬものよ、なア、パン屑を齧つてゐる其処のおまへ!それ見ろ、恰度まなこの端で紅い南天の実が雪の重みで揺れてゐるぢゃあないか。あれはおれだ。世の憎しみやら何やらを一身に背負っているのだ。可哀想とは思わぬかと問ふのさゑ愚かだ。.......何とも耐え難ひ屈辱である。

6/23/2023, 1:21:20 PM