彗星

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題:挨拶の星くず(リンク編)

✰ある朝のこと

 今日、マリオカートの正式なメンバーとして入る日……らしい。
 マリオさんによると、「皆面倒見のいい先輩だから。特にこれから君がお世話になるロゼッタって人」とのこと。
 お世話になるって……部活みたいなもの?そもそも部活っていうのもよく分からない。
 とにかく!今一番優先すべきなのは!自己紹介のことだろ!

✰自己紹介

 舞台の裏からちょっと見た程度だけど、かなりいる。
 入る前にマリオカートについて少し頭に叩き込んでいる。確かメンバーの数は……50人だった気がする。
 50人の前で自己紹介って、結構ハードル高くない……?
 でもやらないといけないので、とりあえずマイクの調子を確認してから自己紹介。
「……リンクです。今日からマリオカートのメンバーとして頑張っていくので、先輩の皆さん、どうかよろしくお願いします」
 会場から拍手が挙がる。
 会話が聞こえなくもない……ん?イケメン?嬉しいけどそこまでイケメンか?
 で、俺のお世話になる人は……あ、あの片目を隠した水色のドレスの人かな。一応その人の特徴も頭に叩き込んである。
 上手くやっていけるかな……。不安ばっかりだな。

✰ロゼッタ

 暇だったからウーフータウンという場所の庭に腰掛けている。
 ロゼッタさん(?)に挨拶しようと思ってあちこち探したけど居なかったし、道中女性の先輩方がめっちゃ絡んできたし。
「大きいがっこうだなぁ……」
 正直がっこうというものを知らない。マリオさんに紹介してもらったけどイマイチ分からなかった。だってハイラルにはがっこうなんてもの、ないんだもの。
 そんな風にボーっとしていると、不意に声をかけられた。
「リンクさん!」
 誰かが呼んでる?そう思って声のした方を向くと、ロゼッタさん(?)がいた。
 ロゼッタさん(?)も探してたのかな……。申し訳なく思う。
 するとロゼッタさん(?)は俺の目の前に立った。だから俺も立った。背高いな……と思っていたら、ロゼッタさん(?)が何かを差し出した。
「……何でしょう?」
 思ったより低い声がでてしまった。警戒するつもりはなかったんだけど……。ごめんなさい。
「これ、挨拶代わりでなんですが、どうぞ」
 星のようなもの。律儀だな。
「これは……?」
 徐ろに口を開く。
「星くずです。硬そうに見えますが、中は柔らかいので大丈夫です。味は……甘いハチミツの味がします」
 へぇー。この見た目からは甘いハチミツの味が想像できない。
 けれど、嬉しい。
「あ、ありがとうございます。ロゼッタ……さん?」
 確認するように名前を言う。
 と、彼女の顔がパッと輝いた。
 名前呼んだだけなんだけどな。
 そして彼女は、去り際にこう言った。
「私が貴方を任されたので、くれぐれも逃げ出さないように」
 不思議に思った。
 だって、マリオカートに入って、頑張っていくって決めたんだから、逃げ出すはずがない。
 ロゼッタさんはマリオカートに一生懸命なんだな。
 そう思って微笑みかけたけど、彼女は気づいただろうか。

                                                               ✰『挨拶の星くず(大会編)』、書こうと思っています!

5/29/2025, 11:27:26 AM