Ryu

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「結婚しようか」

あの時、私の答えに正解はあったのだろうか。
あの時の答えによって、現状はどう変わったのだろうか。
あの時のたった一言で、私は大切な何かを失ってしまったような気がしてならない。

「結婚は、考えてないの」

あなたはうつむいて、そうか…、とポツリ。
ホントに、結婚は考えていなかった。
今こうしていることが幸せで、そこに何らかの変化を与えることに不安を感じていた。
あなたがいれば、それで良かった。

後日、彼に呼び出され、さよならを告げられた。
私は、あなたを愛していること、ずっと一緒にいたいことを伝えたけど、あなたは「じゃあなんで…」とつぶやいて、去っていった。

結婚は、愛する二人のハッピーエンドなのか。
それならば、私にとってのハッピーエンドは、幸せなエンディングではなく、幸せの終わり、だったのかもしれない。
私が迎えたデッドエンドは、私が選んだ結末。
正解ではなかったかもしれないけど、失ったものはもう戻らない。

カーテンを開けると、眩い光が差し込んできた。
五月晴れの空が広がって、眼下の公園の緑が目に優しい。
私はスーツに着替えて、玄関のドアを開ける。
新しい生活を始めるための第一歩。

まだ、ハッピーエンドはいらない。
終わりにしたくない。
私を、私の恋を、私の人生を。

3/30/2024, 12:18:10 AM