君は今
“君は今なにしてるの?”
頭の中で声が聞こえてくる。
「勉強してる。もうすぐ期末試験だから。」
“そっか、中学生だもんね。”
“君は今なにしてるの?”
また頭の中で声が聞こえてくる。
「部活してるよ。」
“そっか、部活動楽しそうだね。”
“君は今なにしてるの?”
また頭の中で声が聞こえてくる。
「大学の入試の結果発表待ち。」
“そっか、大学生になるんだ。大きくなったね。”
“君は今なにしてるの?”
頭の中で声が聞こえてくる。今日は、少し苛立っているようだ。
「20歳になったから、お酒を飲むんだよ。」
“そっか。”
頭の中の声は、いつものようにそう言った。
その後、
“ずるいね、私は小学生で時間が止まったのに。君は大人になったんだ。楽しかったでしょ、色んな経験したでしょ。お酒の味はおいしい?ずるい、ずるいね。いいなぁ、うらやましいなぁ。”
次々に私を責め立てる声が聞こえてくる。
“ねぇ、なんで私が死んで君が生きてるの?”
私は開けようとした缶チューハイから手を離す。
“代わりに死んでくれたら良かったのに。”
あの子はそんな事言わない。だからこれは私の幻聴でしかない。残された罪悪感から生まれた虚像だ。
それを分かっていながら、この歳までこの幻と生きてきた。
「....私が、死にたかったよ。」
せっかく買った缶チューハイは開けられることなく冷蔵庫へ戻されていた。
2/26/2026, 10:59:06 AM