淡雪

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起きて直ぐに外を見た。
未だ登りきっていない太陽は、暖かな柔らかい光で徐々に徐々にと街を照らしていく。

「おはよう」

私は誰に言う訳でもなく、挨拶をした。
ワイシャツのボタンを一個一個丁寧に締めて、朝支度をした後、机に向かって手紙を書く。
誰かにあげる訳でもない、手紙。
どうしようもないくらい最低で、傲慢で、強欲な私が、今日も自分らしく生きていく為の自己満足の手紙。
朝の優しい朝日のような、でもそれよりも残酷な、自分自身を騙す為の優しい嘘の羅列を私は書く。
拝啓、弱い私へ。
今日も演じましょう、自分らしい自分を。
私は私を愛している。誰かが嫌おうとも、私は私を愛している。
今日も強い自分でいるの。
だって、そうじゃないと面白くないじゃない。
私は自分に嘘に塗れた手紙を書く。
滑稽でしょうか。愚かでしょうか。
笑いたいなら笑えば良い。私の強さは美しいのだ。

6/9/2024, 11:45:46 AM